京都新聞
紙面特集

「猿楽と面-大和・近江および白山の周辺から-」
MIHO MUSEUM 春季特別展

「般若」
室町時代 1558(永禄1)年
兵庫県・篠山能楽資料館蔵

中世熱くした 猿楽の面たち

 中世の支配層を魅了し人々を熱狂させた猿楽の面(おもて)350点を一堂に集めたMIHO MUSEUMの春季特別展「猿楽と面-大和・近江および白山の周辺から-」が10日から開催される。

「三番叟」
安土桃山時代 大津市・日吉大社蔵

 猿楽とは、能と狂言で構成される現在の能楽のかつての呼び名で「さるごう」「さるがう」とも読まれていた。平安時代に人気を博した物まね芸などを起源に、鎌倉期には各地の有力な大寺社の保護のもと座を形成し発展。室町期には足利将軍にその芸が認められた観阿弥・世阿弥親子が歌舞劇として大成させ、平家物語などの古典文学に取材した曲目などを創作した

 同展では、興福寺や春日大社などに猿楽を奉仕し観阿弥親子を輩出した大和(奈良県)、大和と同様に猿楽が盛んで延暦寺や日吉大社などに奉仕した近江(滋賀県)、さらに石川・福井・岐阜県境にまたがる霊峰白山の周辺(加賀、越前、美濃)の3地域を中心に、寺社などで受け継がれてきた平安後期から江戸期にかけての面を展示する。

大和、近江、白山周辺350点一堂に

 そのうち重要文化財は80点。室町~江戸期に江北(滋賀北部)に在住した面打(めんうち)(面製作者)である井関家の作品29点も展示する。能装束や鼓なども20点ほど紹介する。  彫刻史を中心に、文化芸能史や文学史も絡めてひもとく猿楽の世界。担当した桑原康郎学芸員は「猿楽の面を350点も集めた全国的にも非常に珍しい企画」と話す。

「若い女」 檜垣本七郎作 
室町時代 1493(明応2)年 
奈良県・吉水神社蔵

「福太夫」 出雲作
(滋賀県指定文化財)
室町時代 1508(永正5)年 
甲賀市・油日神社蔵

「紅地花唐草入菱文唐織能装束」
(重要文化財)
安土桃山時代 
東近江市・八幡神社蔵

「尉」
(重要文化財) 
観世十郎元雅寄進 
室町時代 
1430(永享2)年 
奈良県・天河神社蔵

「霊獣・猿」 
室町時代 
京都市・壬生寺蔵

「喝食」
(重要文化財) 
安土桃山時代 1616(元和2)年 
岐阜県郡上市・白山神社蔵

「癋見」
(南越前町指定文化財)
室町時代 
福井県南越前町・熊野神社蔵

案内
■会  期3月10日(土)~6月3日(日) 月曜休館。ただし4月30日は開館。5月1日は休館。
■開館時間午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)。
■会  場MIHO MUSEUM(甲賀市信楽町田代桃谷300)0748(82)3411。
■入 館 料一般1100円、高校・大学生800円、小中学生300円(20人以上は各200円引き)
■主  催MIHO MUSEUM、京都新聞
■講演会など▽「能楽ワークショップ」能の実演とお話し 4月29日午後2時、講師は片山九郎右衛門(観世流能楽師)。100人。予約はメールで▽講演会「面のおもしろさ」 4月22日午後1時半、伊東史朗和歌山県立博物館館長・MIHO MUSEUM研究顧問。100人。予約不要▽シンポジウム「猿楽と面の進展-各地に残る面から」 5月13日午後1時半。100人。予約不要。
【2018年3月6日付京都新聞朝刊掲載】