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厳しい百貨店業況 「コト消費」提供も鍵に

報道部 今野麦
商業施設の増加やネット販売の拡大で、百貨店を取り巻く環境は依然厳しい(京都市下京区)
商業施設の増加やネット販売の拡大で、百貨店を取り巻く環境は依然厳しい(京都市下京区)

 百貨店が苦境に直面している。今月23日に発表された京都市内の百貨店の2017年総売上高は、前年比0・1%減の2433億円。マイナスの幅はこの10年で最も縮小したものの、インターネット販売の台頭や売り場面積の減少など業況は依然厳しい。収益の柱である衣料品が伸び悩む中、品ぞろえの見直しを迫られている。

 日本百貨店協会によると、全国の百貨店総売上高は17年で約5兆9500億円。36年ぶりに6兆円を割り込んだ16年からさらに0・4%減った。最盛期の1991年と比べると減少幅は4割に及ぶ。地方店舗の不振に都市部の競争激化も加わり、閉店や規模縮小に歯止めが利かない。売り場面積も2018年6月末で約555万平方メートルと10年前の8割に縮小する見通しだ。

 京都市内でも、10年に四条河原町阪急、14年に近鉄百貨店桃山店と百貨店の閉店が相次いだ。ピーク時の9店舗が今では6店舗だ。

 市内の各店は、地元客による購買の減少を旺盛な訪日観光客の消費で補うべく、免税カウンターの増設や決済サービスの拡充を図ってきた。足元の販売は堅調だが、この追い風がいつまで続くかは不透明だ。地元百貨店の幹部は「インバウンド需要に頼っていては、国内の消費者を逃がすことになりかねない」と危機感を募らせる。

 不振の背景には、主力の衣料品の低迷がある。ネット通販やファストファッションなどとの競合が激化し、百貨店の衣料品販売額はこの10年だけで3割以上減少した。売り上げ全体を押し下げる大きな要因となっている。

 経済産業省の「商業動態統計調査」によると、全国の百貨店の商品別販売構成比は、衣料品が42・8%と最も多く、食料品29・8%、家庭用品2%と続く。一方、総務省統計局による06年から16年の「家計調査」のうち支出を費用別に見ると、「被服及び履物」が14・8%減なのに対し、「食料」は7・0%増、「家具・家事用品」は6・1%増だ。百貨店の売り場が現在の消費性向と真逆にある構図が見て取れる。

 業界では、ここにきて長年不変だった販売構成比を見直す動きも出始めている。大丸松坂屋百貨店を運営するJ・フロントリテイリングが昨年4月に東京・銀座にオープンした「ギンザシックス」では、多くのアパレルブランドをそろえる従来型の百貨店の形を見直した。衣料品を圧縮し、雑貨や食料品の販売構成比を高める「新百貨店モデル」を打ち出している。

 「ゾゾタウン」などのネット通販が勢いを増す時代に、実店舗へと客をいざなうにはどうしたらいいのか。消費者ニーズに応じた売り場展開に加え、特別な体験に金銭を払う「コト消費」をとらえる商品を提供することも、今後の鍵となりそうだ。

[京都新聞 2018年1月31日掲載]

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